
こんにちは。
PalmTrees 長坂です。
今回は、ホテル雅叙園東京がオーナー変更のため
180組の婚礼をキャンセルしたと昨今ニュースになっておりますが
それについて元ブライダルカメラマン目線で
思ったことを書かせて頂きます。
雅叙園公式HPより
休館のお知らせ
https://www.hotelgajoen-tokyo.com/archives/104064
であったりYahooニュースなどを見て頂ければと思いますが
新郎新婦目線で思うと大変腹立たしい面、元ブライダルカメラマンとしては
心苦しいですが、致し方ないのかなと思う部分もありました。
180組は正直少なくないか?
これは大変語弊がありますが、まず180組もの新郎新婦が
予定していた結婚式を挙げれないのは大問題です。
結婚式と言うのは一にも二にもコンプ(つまりクレーム)を
出してはいけない業界No.1です。
ですが、非常に残念なことにクレームが出やすい業界としても
No.1と言っても過言ではありません。
今回は、完璧に受注していたサロン側に問題がありますが
正直、2025年10月〜2026年3月の主なキャンセル分として
180組(件)は大変少ないと感じました。
10年前は1日40件
これは雅叙園ではなく、私が在籍していたホテルでの話になります。
(多分、雅叙園と比較対象になることも多かっただろうし、両方見学をする方が大半だったろうと思ってます、、、)
まず先述の「少い」と感じたのは
10月〜3月と言うのは(1,2月は除外と考えても)
ブライダル業界にとっては、秋のシーズンと春のシーズンになります。
つまり超がつくほどの書き入れ時。繁忙期中の繁忙期です。
当時の私が在籍していたホテルでは、この時期の大安ともなれば
1日40件とかが普通でした。
そのため朝一に1件、夜に1件。
間に可能であれば「式のみ」などにぶち込まれる。
正直、1日の間で誰の結婚式撮ってるのか
分からなくなる日なんて、ある意味普通でした。
秋のシーズンの場合、
多くて40件、少なくても20件程。
平均をとって週平均(土日のみで平日婚礼は除外)30件×4週。
単純計算で月120件ということになります。
もちろん会場にあるチャペルの数、バンケット(披露宴会場)の数に
よっても差は出てきますが
大型ホテルの場合、今回の180件なんて(敢えて”なんて”と書かせて頂いております)
昔で言えば1,2ヶ月程度の婚礼数でしか無い部分があります。
つまり、それほど婚礼を挙げる人も減ってきていると言うことですし
10年前と比べて、今はゲストハウス、レストランウェディングも増えてますので
1箇所あたりの件数の激減というのは
止めれない部分もあるのでしょう。
代わりの式場を探すのは”ほぼ不可能”ではないか?
これがある意味 “適当なゲストハウス” “適当なレストランウェディング” でしたら
探せば、まだまだあると思います。
(もちろん準備はとてつもなく大変になるでしょうが、、、)
ただ雅叙園で挙げる人は、雅叙園で挙げたい方々なんです。
そして雅叙園レベルの会場が、他にどれだけあると思いますか。
5本の指程もありません。
雅叙園で挙げたい人は外資のホテルで挙げたい人たちではないんです。
(※ 雅叙園もオーナーは外資企業ではありますが、、、)
あの厳かな空間で挙式を挙げたい。
ゲストを持て成したい。
優越ではなく、リッツカールトンやヒルトン。インターコンチなどでは
ダメな方々です。
それを件数は激減しているとは言え
秋から春のハイシーズンで同レベルを予約すると言うのは
ほぼ不可能に近い話になってきてしまいます。
決して他人事ではない。
私が在籍していたホテルは国内企業のグループ会社、及びそのグループが所有してるものになります。
ですが、雅叙園は2000年前後に経営破綻し、それからは外資のオーナーの入れ替わりを繰り返しています。
外見から見れば、「同じ様なホテル」ですが、その中身は全く別ものになってしまいます。
多分、雅叙園のオーナー(土地所有者)が日本企業であったなら
このハイシーズン(しかもサロンが受注してる状態)で
休館などの経営判断はしないと思います。
理由は単純でクレーム(損害賠償等)を考え、そこが済んでから
アナウンスし施行にするはずです。
ですが外資のオーナーの場合、ハイシーズンですら180組しか(秋、春合わせて)成約しないのであれば
10万程度の迷惑料をお支払いし、インバウンド向けに改装した方が良いと言うのは
悲しい話ですが、真っ当な経営判断のような気もしてしまいます。
今回はカナダの投資会社(ブルックフィールド)が土地の一部所有権を取得ということですので
よりインバウンドに注力しているのだと思われます。
出入り業者はたまったものではない
180件しかと書いてきましたが
私達、出入り業者からすれば180件も仕事が飛ぶなんて
恐ろしすぎて、考えたくもありません。
・ホテル内に写真室を持ってる写真館。
(1,000万くらいホテル側に権利金みたいのを払っているはずです)
・映像業者
・花屋
・司会業の派遣会社
・食材の卸業者
・配膳等の非正規スタッフ
等々。
いきなり180件の仕事がキャンセルになるなんて
その方達の食い扶持はどうなるのでしょうか。
カメラマンの方々は大半が業務委託ですので
会場に余程の思い入れが無ければ
他に移籍すれば何とかなるでしょうが
社員を抱えてる下請けの会社(経営者)からすれば
吐きそうなんてレベルの話ではないはずです。
もちろん他の出入りしてる会場があれば
まだ何とかなりますが、専属契約になっている場合は
あまりにも恐ろしすぎる話です。
育ててもらったからこそ
今はもう婚礼は撮っていませんが
婚礼業界に育ててもらった身としまして
今回の件は非常に残念でありますが
致し方ない部分でもあるのかなと思ってしまいます。
悲しい話ではありますが、、、
新郎新婦からしたら
怒り、絶望など、言葉に出来る方はまだしも
大半の方々はその言葉すら出てこないのでないかと思います。
私も数年前に自身の結婚式をしましたので
準備の大変さは、身に染みて分かっております。
(殆ど妻がしてくれましたが…)
本人達もそうですが、招待されているゲストの方々も残念でしょうし、
別会場でやると言うのも、人によっては1回目が破談になり2回目と
縁起を気にされる方も居らっしゃるだろうなと思います。
本来は雅叙園レベルを日本企業がオーナーとして
持ててれば理想なんでしょうけど、色々難しい部分もあるのでしょうね。
ブライダル畑で育てて頂いた身として
今回は非常に残念に感じてしまうニュースでした。
ここまでお読み頂き有難う御座いました。
またお会いいたしましょう。
PalmTrees 長坂
